• v029 コクホくんとコクホちゃんは笑っているけれど…

    ■コクホくんとコクホちゃんは笑っているけれど…

    コクホくんとコクホちゃん

    今回はややお堅い話。
    昨年、日本国内で国保料が払えずに治療を行えず、命を落とした方が20名近くいたそうです。てことは、命にまで関わらなくとも、病院へ行けずにケガや病気をこじらせてしまった人は相当数いると思われます。

    実は、昨年引越したばかりの3月、札幌市役所から国民健康保険の納付書が届いた時、あまりの高額に両方の目玉が飛び出してしまいました。(ホラーですね)
    確実に何かの間違いであろうと思い、市役所へ乗り込んだのです。

    私 :「あのーすいません、国保料が間違ってるんですよ。こんなわけないですよね」
    職員:「はいっ? あ、えーとですねぇ…」
    私 :「東京から引越してきたんですが、2倍以上ですもんねこれ」
    職員:「え、そうですねぇ…」
    私 :「ね。というか実質3倍近いですよね。計算違いでしょ?」
    職員:「んー、この計算式ですから…、合ってるんですよ、これで」
    私 :「え、うそ!」(また目玉が…)
    職員:「すいません、合ってます」
    私 :「え、うそ。え、うそ。え、うそ…」(壊)

    目玉に続いてよだれも出てしまいました。
    気を取り直し、あまりにも東京との開きが大きいのでその理由を聞いてみました。

    まず、 東京には大金持ちがたくさんいて全体の底上げができているのに対し、札幌には大金持ちがほとんどいないため、みんなで多めに出し合うしかないのだという説明でした。(貧乏人が多いので税収が少ないということだ…)
    それから、札幌に優秀な医療機関が集中しているために、重い病気の人や難病患者が北海道や東北の広範な地方から集まり、そういう医療費を札幌市民が負担する構図になっているのだというのです。本当なのか? 何と言う現実。

    困ったなぁ。

    ほぼ1年間納付してきて、本当に重税感があります。苦しんでいる人が大勢いるだろうことは簡単に想像がつきます。同時に、東京の国保料って安かったんだなと妙に感心するのでした。

    借金大国、高齢化社会では減税の期待は薄く、これからはもっと負担が大きくなるのは確実。しかしこれって仕方ないで済むことなのだろうか…。直接人命にかかわることなのに…。
    待てよ、大企業が空前の利益を上げている中で、その大企業や大金持ちの税金が優遇され過ぎているのではないか。んー、でも札幌市の説明を考えれば、取れるところから取ったとしても税収が増えるのはケタ違いの大金持ちが集まる東京だけであって、地方はダメダメではないか。

    所得の低い者が大きな負担をするしくみって何なのさ。
    詐欺で蔓延している世の中、まるで地方が国の詐欺にあっているような感覚だ。 構造的に希望が持てないのだから。高額の国保料を支払う度にそう思ふ。

    でも医療って地方自治なのだろうか。これじゃ「国民」保険じゃなくて、「市民」保険とか「町民」保険、「村民」保険じゃないか。納得いかないなー。医療の地域格差をなくしていくのが国のやることじゃないのだろうか。だって人間には格差がないのだから。そんな理想はもうこの国にはないのかな。

    地方は酷だゼイ。(ムカムカプン)
    でも東京にいた時にはあまり考えもしなかったな。ボソッ。


  • v028 貝と言えばツブですが…

    ■貝と言えばツブですが…

    つぶ貝

    ホタテ、カキ、赤貝、ミル貝、トリ貝、アワビ…。酒のつまみには最高ですね。
    北海道に来てから、貝と言えばツブ貝が主流となりました。店ではよく突き出しに出てくるくらいポピュラーで、スーパーでも目立ちます。

    で、このツブ貝の刺身が思いのほかうまいのです。コリコリ具合が絶妙で、ひょっとするとアワビ以上にうまい。(個人差あり)
    有名なのは稚内近くの(かなり北)オホーツク側にある猿払(さるふつ)というところのツブ貝です。偶然、ある飲み屋でその猿払産のものを口にできました。あまりに美味しかったので、なくならないように、少しずつ少しずつ食べたのでした…。(貧)

    ある日、スーパーで生きているツブ貝が1個168円の特売だったので3個衝動買いしてしまいました。(通常は1個700円くらいで売っていたりします)

    『買ったはいいが、どうやってさばくのだろう』

    刺身と言っても少し湯通しするのではないだろうか。できればその方が生き物を直接殺した感じが半減するのでありがたい。巻き貝なので生きたまま引きずり出すのは酷ってもんだし、動いているものを切り刻むのはできれば避けたい。が、それはあまりにも非現実的でありました。

    ネットでさばき方を発見して思わず笑ってしまいました。
    1 ハンマーで殻を叩き割る(大笑い)
    2 身を引きずり出す(笑い)
    3 不要な部分を取り除く(内臓を切り取る)(微笑)
    4 唾液腺(アブラ・毒)を手で取り除く(汗)
    5 生きたまま食べやすい大きさに切る(笑い)

    ぐにゃぐにゃと生きている状態で切り刻むこととなりました。3個も。
    以前、生きている毛ガニを買った時も目をつぶりながら熱湯に投入しましたが、今回もまた人は殺生によって生きていることを実感するのでした。何を今さらという感じでもありますが、長年、生き物に手をかけてこなかったので、逆におかしな感覚が支配してしまったのでしょう。

    ツブ貝をひとつ左手に取ります。右手にハンマーを持ち、コツコツを叩くと殻は簡単に砕けていきます。殻が割れていくと、貝の身が膨張するようにせり出してきます。

    『なんまんだぶなんまんだぶ…』

    やがて身がすべて取れるので、内蔵部分や唾液腺を手でちぎったり包丁で切ったりします。 まだ生きて動いているツブ貝をスパスパっと切ってしまいます。そうやってひとつ殺り、ふたつ殺り、三つ目に差し掛かる頃にはもう慣れてきて、すっかり料理人の気分となっているのでした。
    味はもう最高。日本酒ですっかりご機嫌な食事となりました。


  • v027 靴の裏のスパイク

    ■靴の裏のスパイク

    靴のスパイク

    雪道に慣れていない人が普通の靴で歩くと高い確率で転んでしまうようです。神奈川生まれの妻が、札幌に来て間もない3月と4月に10回以上転び、2回後頭部を打ったと言っておりました。人にもよるのでこれほど転ぶのは逆に珍しいかも知れませんが(本人談:靴底がツルツルだった)、ただ、実際に歩いてみると、雪の下がアイスバーンになっているところがかなり多く、地元の人でも結構転んでいるとのことです。最近の朝のテレビ番組で知りました。

    私はまだ転んじゃいませんが、靴が傷んでいたので年末に買い替えました。普通にスパイクが埋め込んである靴には実は興味がありませんでした。
    記憶では、金属をバタバタさせてスパイクを出したり引っ込めたりする靴があったはずだと思っていましたが、内地で長いこと暮らしたので、ひょっとしたら記憶違いか、もうそんな昔のものはないか、ちょっと自信がありませんでした。靴屋へ入るとすぐに「その靴」は目に入りました。

    「あったー、コレコレ、これがいいんだよ」

    ちょっとわかりにくいですが、画像は靴の裏です。夏の道路ではスパイクをしまいこみ(画像では上に倒す)、冬の雪道ではスパイクを効かす(下に倒す)ことができます。よく見ると、スパイクになる金属の先が丸まっています。以前は尖っていたと思うのですが、おそらくデパートなどの室内で床を傷つけないための工夫なのでしょう。

    普通のスパイクと比べてそれほど効き目は変わらないと店員が言っていました。でも、私はこの金属がカチャっとする音や、スパイクを出した時の「スパイク、ロックオンっ!!」みたいな気持ち良さで、このタイプしか買うつもりはなくなっていました。

    ただでさえ転ばないのに、もうこれで転ぶ確率は限りなくゼロになってしまいました。もし転んだら号外を出そうかと思います。お楽しみに。転ばないけど。


  • v026 「ふるさと銀河線」廃線

    ■「ふるさと銀河線」廃線

    ふるさと銀河線

    正月休みは実家の北見へ帰りました。以前から気になっていた今年4月20日で廃線になる鉄道の「ふるさと銀河線」に乗ることにしました。廃線区間の北見から池田までの32駅、これを妻と2人で往復すると1万3640円もかかります。予算の関係で泣く泣く半分程度のところまでを往復することにしました。

    行ったところは陸別という町ですが、これが「日本一寒い町」という肩書きがついています。駅前には氷点下40度まで計れる大きな温度計の塔がありました。陸別は冬期の最低気温の平均が日本一なんだそうです。

    日本で記録した最低気温は1902年の氷点下41度、陸別ではなく旭川だそうですが、実は陸別周辺で氷点下40度を越えて、計測不能なんてこともあるらしいので、非公式にはやっぱり陸別が日本一かも知れません。

    私が昔経験した氷点下39.5度は、やはりふるさと銀河線(当時は池北線〈ちほくせん〉と言った)の置戸〈おけと〉という町でした。鼻で息を吸うとくっついてしまうので、口でしか呼吸できなかったのを覚えています。置戸と陸別は直線距離なら30km程度しかありません。やっぱり置戸も相当寒い土地だったのです。

    私が乗った銀河線は1月2日の午前9時20分発の1両編成。どうやら鉄道ファンが全国から来ていて、朝だと言うのに改札には長い行列ができていました。驚いたのは乗ってから。ところどころにある踏切や陸橋などにも三脚を立てて列車を撮影している人をたくさん見かけたことです。それと、駅の看板や標識などの写真を撮るため、ひと駅乗っては降りて次の列車を待つという、おそろしく根性のある鉄道ファンを見たことです。
    3分の2くらいは屋根もない無人駅です。2~3時間、何もない吹きっさらしの無人駅で待機するしかないはずなんです。この日はせいぜい氷点下4~5度でしたけど、つらいですよね。鉄道マニア恐るべし。

    池北線は昔、通学で乗っていました。当時、何もない風景には特に感じるものはありませんでしたが、今回乗ってみて、何もない山の中を走る列車も悪くないなぁ、なくなるのは本当にもったいないと思いました。利用者が少なく採算があわないから廃線になるのですが、魅力がないわけではなく、乗りたい人が全国にいるのではないかと思えます。もう少し工夫できなかったのかなと残念に思います。残してほしかった。

    PS
    陸別では民家近くの山の斜面に野生の鹿(つがい)を見ました。残念ながら立派な角を持ったオスは写真には写せませんでした。発見した時は釘付けになりました。美しいと思いました。


  • v025 雪虫

    ■雪虫

    雪虫

    北海道では、北海道以外の日本のことをザックリと内地と呼びます。神奈川出身の妻が「雪虫(ゆきむし)」を初めて見たというので驚いたのですが、内地の人は「雪虫」を知らないのかも知れませんね。(東北にはいるようです)

    秋にたまたま雪虫がいたので写真に撮れました。5ミリ程度の大きさです。弱々しく服に付いたりするので、人なつっこく感じたりします。雪が降るちょっと前くらいに現れ、大抵は集団でふわふわと宙を舞っています。しかし札幌で見た雪虫は集団化していなくて、ほとんど見かけないまま冬になってしまいました。

    今年はやはり異常気象で、この雪虫ではなく、動きが速くてうざったい小さなアブラムシが集団化し、ニュースになるくらい飛んでいました。

    雪虫については、昔から普通に飛んでいるものでしたので、特別調べたことはありませんでした。それでちょっとだけ調べてみました。

    正式名称はトドノネオオワタムシ。多分「トドノネ=トドマツの根」に住む「オオワタムシ=綿が多くまとわりついたような虫」ではないかと思います。(適当。違うかも)
    そもそもこいつはアブラムシで、ヤチダモ等の木の根で越冬し春にふ化。トドマツに引越して、夏場はその根、地下でひっそりと暮らします。つまりずーっと日陰の生活を送るわけです。

    その数カ月でなんと“4~5世代”を経て、秋に羽のついたふわふわのヤツが生まれてきます。これが雪虫と呼ばれるヤツで、冬間近になって飛び立ち、日の目を見るわけです。
    トドマツから雪虫となってヤチダモに移り、交尾をして越冬卵を生む、というサイクルになります。ちょっと驚くのは、このふわふわしたヤツは実はヤツではなく、すべてメスなんだそうです。てことはオスはずっと暗い生活を送っているのですね。

    それはともかく、雪が降る1~2週間程度の短い期間しか見られない雪虫は、見ていると本当に癒されますよ。そっと手を出すと止まったりします。ただ、雪虫は非常に弱く、少しの衝撃で死んでしまいます。ホモサピエンスのメスとはちょっと違いますね…。
    (^◇^;)

    キタキツネ、マリモ、クリオネのように、いつかユキムシキャラが登場するかも知れません。(はっ、ビジネスチャンス?)
    松嶋菜々子がおいしいと言ったという北海道名菓「ゆきむしスフレ」―それは決して雪虫が原材料ではないお菓子ですが―を食べつつ、ユキムシキャラのブレイクの予感に包まれるのでした。

    なお、トドノネオオワタムシは「害虫」なんだそうです。納得いかない。