■妖怪人間ベム
両親とはぐれてしまい、路頭に迷っている小さな女の子がおりました。そこに通りかがったのが、見た目にはとても恐い妖怪人間ベムのような男でした。
ベムは妖怪ですから得体の知れない力もあり実際に恐いのですが、その力が発揮されるのは「悪」に対してであって、か弱い女の子へのものではありません。
そういうことには子供は敏感で、良い人か悪い人かはすぐにわかるものです。このベム似の男も悪い人ではありませんでした。
「どうしたんだい、道に迷ったのかい?」
「お父さんとお母さんがどこに行ったかわからなくなったの」
「それは大変だ、一緒に探してあげよう」
そう言ってベム似の男は女の子の手をとって一緒に両親を探してあげました。しかしなかなか見つけることができません。しばらくすると交番が見えたので、迷うことなく交番へ入りました。
「おまわりさん、この人が私を連れ回すんですけど」
「ええっ!?」
「なにっ! お前みたいなヤツが社会を腐らせるんだ」
「ちっ、違いますよっ」
「お嬢ちゃん、もう大丈夫だよ」
「ありがとう、おまわりさん」
子供というのは、ちょっとしたウソもついてみたいものなのです。
まあしかし、このご時世、小さな子供に声をかけ、一緒に歩くなんてことは泥棒するより危険な行為となってしまいました。親にとっては子供の命に関わることとなり、学校などにしても子供が知らない人に道を尋ねられてもまず逃げるような指導をするところまできてしまいました。
このごろの犯罪は徹底して弱者へ向かっているように思います。どうせなら表に出せない大金を隠し持っている政治家をターゲットにすればいいのに、とか、思ったり思わなかったり。(ここ忘れていいですよ)
さて、札幌のサイクリングロードの道端に、ベムのような風貌の男と女の子が手をつないでいる道路標識(?)を発見しました。なぜか分かりませんが、これがとても奇異に思えたものですから、ついつい写真にも撮ってしまいました。
さて、この写真を撮ったあと、自転車に乗っていると、このベム兄さんが日本中にたくさんいることに気付きました。
日本中で帽子をかぶったベム似の男が子供を連れ回しております。昔の日本は安全だったんですね。(何か違う)