それは今年の3月のことでした。
普段1000円以上という4桁の料金の温泉には、この14年間、金欠によってほぼ入れなかったわけですが、半額のクーポン券をゲットしたために、通常1人1300円の入浴料が650円で入れるということで、行くことにしたのです。
ニュー阿寒ホテルというところで、「天空スパ」が売りのようです。事前にどんなところかを調べてみると、なんだかウソっぽい画像が出て来るのです。ほら、
ほら。んなわけないじゃん。
ほら。どこまでが温泉よ。
ほらほら。夕暮れでごまかしたりして、温泉なんですかね。
ということで直行します。自分チから70km弱。1時間ちょいで着きます。
道路脇にはエゾシカが時々現れ、道路にも出てきます。なのでゆっくり行きます。
途中、津別の「道の駅あいおい」に立ち寄り、クマヤキを買い食い。
それから20分程度でニュー阿寒ホテルに無事到着し、フロントで半額クーポンで、2人で1300円の入浴券を買いました。温泉の営業開始時刻にほぼピッタリの時間でした。
温泉にカメラ持っていくわけにはいかないので、温泉の現場写真はありません。
まず、内湯が更衣室から見えているのですが、とても広いです。勝手がわからず、右端のドアから入るべきところを、左端のドアを開けて進んでしまいました。
それが暗い廊下になっていて、螺旋階段で上へと上がりました。
すると、なんということでしょう、でっかいプールがあるではありませんか。屋上です。びっくり仰天でした。多分「天空スパ」です。雄阿寒岳の全貌が見え、見晴らしがすごい。そして阿寒湖が眼下に広がっていました。湖はまだ氷が張っていて、湖上に車がたくさん止めてあって、スノーモービルで遊んでいたり、あるいは何かイベントが行われているようでした。さらにはテントが張られていて、ワカサギ釣りかなぁ、という光景も見えました。
私は高所恐怖症なのですが、プールのキワは壁から少し距離があり、怖くありませんでした。(これ大事)
ただ天空スパには誰もいなかったため、なぜか立ち入り禁止かもしれないと思って引き返しました。これは正解でした。なぜならスッポンポンだったからです。(これも大事)
屋上の天空スパに行くには、廊下の途中にある「湯浴み着(ゆあみぎ)」着用しないといけなかったのです。たまたま後になって気づいたので恥をかかずに済みました。
ということでまず内湯に入りました。お客さんは1人か2人でほぼ貸し切り状態。体や髪を洗ってから、天空スパへ向かいました。そこも貸し切り状態。
ホームページの写真とまさに同じで、天空スパのキワに行かなければ湖上の車や人は見えず、視界には広い大地と雄大な雄阿寒岳が広がり、温泉が阿寒湖と繋がっているように見えました。webの写真はウソではないことがわかり、疑って申し訳なかったと思いました。そして広いプール(目見当では7m×20mくらい)の「温泉」はどの温泉よりも頭を空白にしてくれて、雑念というものがなくなりました。何も考えられなくて、山と湖を見ていました。
ここ、いいわ。
やがて、子供2人が男湯側から入ってきて、女湯側からそのお母さんが入ってきて、キャッキャキャッキャと遊び始めました。ここは混浴なのです。それでも全く気にならず、弾け飛ぶ水しぶきがかかろうとも、ただ微笑ましいばかりで、とても良い居心地でした。無の境地にも達することができそうでした。
私はプールが大嫌いで、水に入ると死んでしまうわけですが、お湯ですから死なないわけです。大空にはトンビがピーヒャラ鳴いて飛んでいました。
ただひとつ不満がありました。BGMです。ヒーリングというか、一種の環境音楽が流れているのです。意図的にある方向へ気持ちを誘導させるアレですね、アレすっごく嫌いなんです。良かれと思ってやっているとは思うんですが、むしろそんな音は不要で、自然の鳥のさえずりとか、風の音とか、木がざわめく音が微かに聞こえている方がいいのになと思いました。阿寒湖の上で行われているイベントでの人の声も、それは自然の音のように思います。ほぼ聞こえませんし、うるさいとは思わない。むしろそれっぽい音楽や効果音は気持ちが悪いと感じます。
環境音楽が唯一の雑念を引き出してしまいました。(笑)
しかし、また行きたいなと、何か雑念に襲われている時には特に行ってみたいなと思いました。1300円かー。もうちょっと安く・・・ならんだろうなぁ、むしろこれからは値上げラッシュが始まるのでしょう。
念のため、フロントで天空スパは温泉ですか? と聞きました。ひょっとしたら沸かし湯ではないかと思ったからです。あんなに広い温泉ってあるのかなと思ったのです。そしたら「温泉ですよ」と軽い口調で返ってきました。「そんなの当たり前じゃん」と言ってるように聞こえて「すげー」と思いました。
ところで、天空スパに行く途中に注意書きがありまして、「学生の団体」はお断りしますとかかれていました。「ははーん、さては、はしゃぎ過ぎて他の客を怒らせたのかな」とか「こっそりボールを持ち込んでボール遊びをしていたらそのボールが屋上から落ちて知らんオヤジの頭を直撃して大変なことになったのかな」などと想像して、なんとなくクスッと微笑んでしまうのでした。
とても感動して帰路につきました。
屈斜路湖周りで帰ったのですが、
またタンチョウがいましたし、
白鳥もいました。
おしまい。