■手稲(ていね)山 その2
いろんな事に耳ダンボになっているカミさんが、手稲山でちょっとしたイベントをやっている情報をゲット。そこが意外に近い事から2人で足を運んでみました。
JR札幌駅からわずか15分、そしてバス30分で、手稲の一番上のスキー場に到着。ここからロープウェーで頂上へ行くのですが、そのイベントとは、手稲山の頂上からスープをすすりながら夜景を観る、というものでした。ロープウェイ往復料金込みで1200円ポッキリ。
「山頂夜景ツアーのチケットください」
「はい。あ、あのー、あのですね」
「はい」
「今天気が悪くてガスがかかってるんで、夜景見えないと思うんですよ」
「えっ、あ、でも、いいですよ(せっかく来たんだし)」
「そうですか、晴れるといいんですがね。でもむずかしいかなぁ」
そしてチケットを渡されるとこんなセリフがっ
「ちょっと待ってください。ロープウェイ持ってきますから」
広い待合室に石油ストーブが焚かれていて、自分たち以外は他に誰もいません。ロープウェイ持ってくるってどういうことなのか分かりますか?
それは出発時間関係なしに、客が来たら乗っけるみたいなアバウトな運行で、ロープウェイを貸し切り状態で乗れちゃったわけです。しかし天候が悪く、添乗員のお兄さんがいろいろと話しかけてきました。
「ちょっと揺れますけど、大丈夫ですから」
「わかりますよ。危険だったら添乗員のお兄さんがいませんよね」
「そうですね。うーんでも今日は本当に天候が悪いので夜景は難しいですね」
「貸し切りのロープウェイに乗れただけでも満足ですよ」
「上に行ったら雪上車も貸し切りですよ、ははは」
「ほほー、雪上車にも乗れるんですかぁ、嬉しいなぁ」
さて、夜景のポイントと言っても、そこはスキーのリフトの降り口でした。夜間スキーは山の中腹あたりから下なので、スキー客はいません。一軒、山小屋的な喫茶店(?)があり、そこでスープの引換券を渡せば中でスープが飲めるようになっていました。
雪上車は我々2人を降ろし去っていきました。小屋の中は暖かそうで、入ってしまったら外に出るのが億劫になると思い、30分ばかり吹雪の中をうろついていました。吹雪ですよ、吹雪。まわりに見えたのは、にょきにょきと生えているテレビの巨大な電波塔群くらいなものでした。
もう寒くて暗くてろくに景色も見えず、雪山遭難みたいな感じになっていました。
「これ、ツアーなのか?」(楽しいけど)
ところが、強い風のせいでモヤが吹き飛び始め、じわじわと晴れて来たのです。徐々に街の灯りが見えてきて、ついにスーッと晴れてくれたのです。これがなかなかの絶景。下る時に聞いてみたところ、何と、岩見沢の灯りまで見えていたのです。もっといい時にはあの夕張まで見えてしまうそうです。(気になる人は地図で調べてね)
まあしかし寒い。限界を感じ小屋に入りました。中はほとんどろうそくの灯りだけでとても暗かったのですが、なぜこんなに暗いのかはすぐに理解できました。夜景方向に向いている窓が、宇宙船の司令室みたいにワイドで、外の風景がよく見える作りになっていました。つまり夜景を見やすくするために、部屋が外より明るくならないようにしていたのです。
中は意外に広く、奥の方にカウンターがあり、ボトルが見えました。一応ここが酒も置いているバーのようなところであるのだなと理解しました。真ん中には石油ストーブがあり暖をとれました。実に静かで、いい雰囲気でした。歩くと板がギシギシ鳴ります。
あとは暖かいスープを頼むだけです。そのうち注文をとりに来るだろうと、窓辺に座り、夜景を眺めておりました。
ところが店員は来ません。いつまでたっても来ません。テーブルの上にはメニューが置いてありましたが、ろうそくの小さい灯りだけなので、暗くて文字が見えにくい状態でした。暗い部屋に目が慣れてきた頃に、メニューの端に小さく書かれていた注意書きが見えてきました。
「なになに、注文はカウンターでお願いします、だって」
「こっちから頼みにいくのかっ。見えないっちゅうの」
スープは5種類もあり、私は「エンドウ豆のグリーンスープ」を選びました。もう、味はうまいに決まってるので説明しません。
そして外はどんどんどんどん街の灯りが鮮やかに見えてくるのでした。
普段の行いが良いと、こんなご褒美に預かってしまうのですね。(ベタなオチだなぁ)
(このイベントはもう終了しています)
■第19回 愉快な札幌大発見:手稲区役所ホームページ
さすがは札幌市、と思いました。私の求めていたものがそこにはありました。市(区)をあげてダジャレをかましています。
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