■ぶん投げられる魚たち
聞く話では、北海道ではウグイ(ハヤ)が釣り人からとても嫌われているようなのです。海でも川でも釣れるのですが、例えば、ワカサギのように小さな魚は、ウグイに食べられたり、散らされたりてしまうらしく、ワカサギ釣りでウグイが引っ掛かると「コノヤロー!! ムキーッ!!」となるそうです。
ヤマベ釣りでも、やたらとウグイが食いついてくるとか、いわゆる外道(狙っていない魚が釣れること)な魚No.1のようです。
そうしてウグイは、海ではカモメの餌食に、川ではキツネの餌食にされるべく、そこいらへんにぶん投げられてしまうのです。
じゃあウグイはマズいのか、という疑問が湧きます。
ひょっとしたら美味いのではないか?
ということで、釣り場でぶん投げられていたウグイを拾ってきました。(笑)
こんな30cmもあるでかい魚を捨ててしまうとはなんと言うことでしょう。
こいつを調理にかかろうとすると、うちのビックリちゃんが嗅ぎ付けてきました。
あー、わかったわかった。チミにはワカサギをあげますよ。
そのスキにウグイをさばきます。骨が硬く危険なので、3枚におろして背骨は捨てます。
なんか、美味そうな気がするんですよね。小骨は、というと、ちょっと指先に当たるような感じはあるものの、火を通せば食えるっぽいし、小骨抜きで抜くにも細かくて難しいので、このまま調理することにしました。
白身の美味しそうな魚じゃありませんか。どうです。これ。
ムニエルっていうんですかね。
パクパク、ん、お・・・、いやいや、美味いじゃないですか。
美味いじゃないですか!!
クセがないし、美味いじゃないですかっ!!!
こりゃ全然食えますよ。むしろこのアッサリ感は高級魚のようです。
ちょっと弾力もあるし。
ん、んんん。
あーー、うわー、ほ、骨がー!!
この小骨チクチクする。食べにくい。骨取るのめんどくさい。いっぱいある。
下ごしらえの段階でこの小骨の部分をカットすると、本当に身の量が少なくなってしまいます。何か方法はないものだろうか。
でもまあ、クセもないし弾力もあって美味しい魚だと思いました。次、機会があれば、どうにか小骨を何とかする方法を考えてみることにします。せっかく釣れたウグイは食べましょうね。
さて、先日、1月25日(土)に、以前行ったトコタン川にチカ釣りに行きました。
10組ほどの釣り人がいました。氷に穴をあけてチカを狙っています
連日氷点下20度近い寒さが続いていましたが、この日は異様に暖かく(3~4度?)、風もありませんでした。川の両岸の氷が溶け始めていて、時々ボコ、バキ、ミシ、と音を立てていました。
しばらくして一匹釣れました。おー、でかい。
でもチカじゃない。こっ、これはっ…。
このキュウリのような匂いは…。
これが、釣り人の間では不評なキュウリウオです。ウグイのように嫌われ感の強い魚なのです。チカを釣りにきたのにキュウリウオが釣れてしまうと、
「くっそー、キュウリだー」と残念がられてしまうのです。これもウグイほどではないにしろ、ぶん投げられる類いの魚です。
この日は1時間ほどで、キュウリばかり25匹釣れました。これ以上釣っても食べ切れません。川の氷も溶けてきているし、帰ることにしました。
結論から言うと、キュウリウオは少し甘みがあって美味いです。
単純に塩焼きにしても、ムニエル的にしても、アクアパッツァ的にしても美味しかったですし、おそらく煮ても、揚げても、美味いはずです。
味に関しては嫌われている理由が分かりません。そして、ウグイもキュウリウオも白身の淡白な「高級魚」です。タイやフグが見劣りするくらいです。知らんけど。
ということで、このぶん投げられる魚たちを見ていると、とにかくもう複雑な思いがします。美味いのに釣っておいて捨てるなんて外道ですよ。外道が外道を釣ってるんですよ。
なに上手いこと言ってんだか。
おしまい。