■食物連鎖を体感
裏玄関を出たところに、高さ1メートルもない山椒(さんしょう)の木があり、邪魔なので切ることにしていたある日、でっかい緑色のイモ虫的な生物が目に留まりました。
「なんだっぺよ」(なんでなまる)
アゲハの幼虫でした。よく見ると、それは7~8匹も居て、周辺にいろんな植物が接しているのに、山椒の木の葉っぱだけを食べているのでした。
アゲハの養成所となっているこの木は切れないと思いました。1本しかない山椒の木を切ると、この周辺からアゲハがいなくなるかも知れません。この木は大切な役割を果たしている可能性がある。
そんな発見のあった頃、畑の作物は、1か月以上も晴れ間がほとんどなく、寒くて、天候がひどく悪かったにもかかわらず、キュウリ、ホウレンソウ、ルッコラ、とうがらし、チンゲンサイなどが食べられるくらいになっていました。
川魚の釣りが解禁になった7月1日に、73歳になる父がヤマベを釣ってきました。
中にはまだ生きているヤツがいます。
魚をさばくのですが、腹を切って内蔵をえぐり出すわけで・・・
「魚が限界だっぺよ」(なんでなまる)
鳥も豚も牛も、自分でさばけといわれてもそれは無理な話だと思うのです。
自給自足を目指す私としては、自分も釣り名人にならなければなりません。そこである土曜日に、近所の川へ行きました。(車で20~30分)
不運なことに川は雨で増水し荒れ狂い、水が濁りまくっていました。それで支流の上流へと移動して、どうにか釣り糸を垂れることが出来たのでした。
結果は、ちっちゃいヤマベが4匹ほど。(写真もない)
魚には「すまねぇなぁ」と思うものの、釣れた時はちょっと嬉しかったり。まあ、小さな収穫だが生きるための大きな一歩、というところでしょうか。
そうこうしてるうちにウチの山椒の木の脇で、アゲハが羽化しているところを発見しました。
あいにく天気が悪く、乾かないのか、羽が伸びるまでパタパタしていました。何時間か経ってようやく飛び立って行きました。その間に鳥に狙われたら食われてしまうのでしょう。過酷でありますね。
数日後にまた数匹が羽化し、そのまた数日後にはアゲハが山椒の木の周りに戻ってきて、ヒラヒラ舞っているのでした。またここに卵を産みつけるのかも知れません。
7月31日。「どこまで育つか実験」で、穫らずにいたキュウリをもぎました。そろそろ食べないとダメになるような気がして。
長さは45cmもありました。このビア樽みたいな猫の名前は「デカ」です。デカとデカキュウリを並べてみました。
キュウリはとにかくよく育ち、次々に収穫できています。
(デカキュウリは美味しく、腹一杯になりました)
ひと月前、やや閑散としていた畑はいつのまにか鬱蒼としたジャングルのようになっていました。
左下はズッキーニ、左にトウモロコシ、中下はカラーピーマン、真ん中にキュウリ、右にトマトが写っています。
この雑然とした雰囲気を醸し出している一番の原因はトマトにあります。実は、トマトの育て方で、「1本立ちさせる」とか、「わき芽を摘む」とか、「5段くらいで止める」とか書かれていた情報はあったのですが、よく理解できなかったのでした。
「どこを切るのかわかんねーじゃん」
育ってきたら考えよう、程度に構えていたら、いつのまにかモッサリと。
親戚のおばちゃんがやってきた時に、「トマトのわき芽が良く分からないので教えてほしい」と言うと、秒速3mで畑に向かい、即座に、落胆しつつこう言ったのでした。
「ああぁ、育ち過ぎだわ!」
そして枝をポキポキ折りながら、わき芽のことを教えてくれました。
「いいかい、わき芽はこれっ!! こういうのは取るっ!!」ポキポキ
「この枝、全部無駄」ポキポキ、ポキポキ
「これもわき芽!!」と言った直後
「あ、キュウリだった」(明らかにミス)
「この太い枝は全部わき芽!! 実もついちゃってるし、しょーがない、ほっとこう」
後日、おばちゃんが訪ねてきた時、「あのトマトは無理だわ、残念だけど」とボソッと言ったのでした。おそらく赤くならないだろうと言うのです。育ち過ぎていて実に栄養が回らないらしいのです。
しかし以前、「自然農法」について書かれたものを読んで、人間の手をほとんど加えない方が美味しいものが出来るとか、現代の農法が大量生産のために歪められているとか、常識は間違えているとか、「別の理論」もあるわけで、この際、せっかくだからトマトは実験として、ダメと言われるモッサリ農法を続けようと思ったのでした。
「実践の失敗から学ぶのだっ!!」
と思っていたら、ある日、父がこりゃダメだと言って、トマトの実ごと枝をポキポキ折って、少しスッキリさせてしまいました。中途半端な実験になってしまいました。
「なんだこの虫は!!」
「黄金虫じゃないの」(妻)
「黄金虫は違うじゃろ、ホタルっぽいが・・・」
「ホタルなワケない」
それはウリハムシモドキでした。なんだよウリハムシモドキって、普通に名前が分かるわけない虫って、みんなどう思う?
ホウレンソウ、インゲン豆、チンゲンサイ、シュンギクのところに、こいつらがはびこっていました。とところがこいつらは、マリーゴールドが大好きらしく、ちょうど害虫対策で植えたコンパニオンプランツ「マリーゴールド」に見事に集中していたのです。
しかし、周辺の野菜にも付いてしまうので、少し殺さねばならないなと思いました。しかし、何だか可哀想で虫が殺せません。ゴキブリであれば完全に死を確認するまで徹底的に薬剤で殺害しますが、例えば嫌いなクモだって、その存在は必要な存在であり、それを気持ち悪いという理由でガスガス殺せば食物連鎖が崩れ去って行くのです。だから無闇に殺してはいけない。
でもゴキブリだけは例外。ぶっ殺す。ワナワナ。
ウリハムシモドキもここに居る理由がある。人の都合で殺してはならない。
やがてウリハムシモドキはマリーゴールドを食いつくし、豆やホウレンソウに被害を与え始めました。マリーゴールドを新たに移植してごまかしたりしましたが、それにも限界がありました。ウリハムシモドキが増えすぎて。
仕方なく、ウリハムシモドキの駆除についてネットで調べました。
「洗面器のようなものに石鹸水を張って、そこに落とすだけ。水でも良い」
何と簡単な。水でやってみました。水に落とすとウリハムシモドキは手足をバタバタさせて浮いています。器の壁がツルツルしていて水から出られず、やがて数匹がくっ付いてかたまりになって水に浮いたまま、ジタバタと動いていました。何時間も死にません。
石鹸水なら、おそらく窒息してすぐに死ぬのでしょう。
「できねーわ」
何だか可哀想なので、遠くへ行って捨てました。まだ生きていました。
その後、ウリハムシモドキはちっとも減らないので、ついに切れてしまいました。
「あーウットオシイなー、このこのこの」
水に次々に落として、蓋をして1日放置。みんな死にました。(泣)
私の事務所はこの畑の前にあり、仕事をしているとクマンバチやモンシロチョウ、ガ、ハエ、ガガンボ、クモなどが「失礼します」の一言もなく入ってきます。
ここでもハエが鬱陶しい時があり、手元に常備しているゴキジェットを噴霧した時が2回ありました。その都度、ハエがジタバタ苦しむ音がするので、最近ではゴキジェットを噴霧することが出来なくなりました。
ハエですら、こいつらにも存在している理由がある、と思うようになってしまいました。ハエを殺すことは、巡り巡って、自分を殺すことでもある。無駄な殺生はいけません。
メシを食っている時、ハエがブンブンとやかましく飛んできました。
いい加減にせーよ。バシッ!!(一撃)
まあ1匹ですから。