■天からのプレゼント
「天からのプレゼント?」何言うとんの、もう。特に偉いこと何もしとらんし、茹でたトウキビを半分に割って相手に少ない方を渡すなどという極悪なことをしてて何で神様的な人がプレゼントくれるんですか。ねぇ。
それは、その日、しばらく行ってなかった丸瀬布(まるせっぷ)の高原へ、気まぐれで行った時のことです。8月26日の日曜日。天気は曇りがちな適温。コンビニのセイコーマートで弁当を買って、途中の生田原(いくたはら)の誰もいない寂びれた公園で早めの昼ご飯を食べました。たまたま陽がさしてのどかな気分。
ここのところの悪天候で、公園の地面はびしょびしょでした。
さて、目的地の大平高原(たいへいこうげん)は、我が家から約100km。車でのんびり2時間です。以前鹿の群れに会った道から行きました。
この日は何も出てきませんでした。先週は畑の作物を食い荒らす鹿ちゃんにハラハラしましたが、まあ、そうそう出くわすものではありません。
昼に温泉「山彦の湯」でひとっ風呂(2時間!!)浴びて、いよいよ高原へ向かいます。360度何もないただただ広大な風景(牧場です)が広がっています。(最初の写真がその途中の風景。一部に陽が差して美しい)
そして霧のような雨が降り、晴れたり曇ったりで不思議な色になっていました。
しばらく走ると広い空間に出ました。
「あれ? 虹? 角度的に、随分低いな」
「虹っぽいが、えーと、あれが右端とすると・・・」
低い角度で左方向に伸びてます。
「するってぇと、左の方にあるんじゃないか」
ほーらあったあった、薄いなぁ。
わかりますかね、虹が低くかかっています。
「薄いなぁ、濃くなるのを待とう」
別になんの用事もないし、ボケッと待つことにしました。贅沢な時間です。
「ちょっと濃くなったかも」(たった1分ほど)
でも繋がってないのです。もうちょっと待とう。
しかし10分ほどで薄くなり、このまま消えそうなので、帰ることにしました。虹を背に車を10メートルほど走らせつつ、ただ、こんな機会があるだろうか? いや、あるはずがない、と・・・
未練がましく振り返ると、またなんとなく濃くなって来た感じがして引き返し、もう少し待つことにしました。それから少しずつ濃くなって来たのです。約30分後・・・
おー、来たんじゃないのー!! これー、いいんじゃないのー!!
来たーーーーっ!! 繋がったしーっ!! なんか手前に来てるしーっ!!
「すげーわ」
この時、背中の方で野生の何かがギャーと叫ぶ声がし、思わず振り向きました。遠くからの声で、どこに何がいるのかわかりません。なんだろうと思う間も無く、手前に目に飛び込んできた黒い塊に気づき、思わず「あっ」と叫んでしまいました。
そいつは私が生まれて初めて見る野生のヤツでした。冬にはやたらと足跡はあるのに姿を見せないヤツです。
ヤツらは警戒心が強く、ほんっとに姿を見ることができないのです。そいつが目の前にいるではありませんか。
おー、野ウサギじゃー、初めて見たー、ウヒョーッ!!
虹が満開です。虹も撮らなきゃ消えちゃうよ、いや、ウサギを撮らなきゃ逃げちゃうよ、きゃー、困ったぞこりゃー。
距離にして30メートルほどのところで、車で待っていたカミさんが、「やったー」みたいな叫び声をあげています。虹を見てのことかと思ったら、なんと、ラジオで14時開始のファイターズの試合を中継していて、2回の裏に鶴岡選手が先制の2点タイムリーを放ち(15時10分)、やったーやったー、と叫んでいたのです。
高原での美しい虹、野ウサギ登場、ファイターズ先制タイムリーのトリプル。
なんか倍率的には1000倍、1万倍、2倍くらいで、2000万点ゲットです。1日で2000万点はないわー。(笑)
いや、もっとかなー。1億点かなー。(笑)
それはともかく。
「ウサギー、ウサギがいるー!!」と私が叫びましたが、全く伝わらず、とにかくもうシャッター切りまくり体制に入りました。虹とウサギ。ウサギは逃げませんでした。動くと目立つからなのかもしれません。5メートルくらいまでじわじわ近づき、それ以上は強いストレスをかけてしまうと思って離れました。
何か良い行いでもしたのかな自分。良いプレゼントをもらいました。
この広い空間を独占させてもらいました。
楽しい。(笑)