■年越し蕎麦の前に蕎麦ウンチク
289号で、蕎麦にハマってきた割には蕎麦の“かおり”だとか“うまみ”だとかが全く分からないことを書きましたが、読者から「それはある意味正常である」とのメールが来たのです。
蕎麦の香りはむしろざる蕎麦のような冷たい系より、普通にかけ蕎麦の方が香りが感じやすく、さらにかおりを楽しむのであれば「そばがき」であると。
そばがきってなんじゃ。
で、調べてみるとそば粉で作った団子のような食べ物。じゃあ食べてみようと、11月23日、いつも美味しい津別の道の駅「あいおい」の蕎麦屋さんへと行ったのです。
ありました。
「期間限定 そばがき 五百円」
期間限定、というのは何と、ジャスト新蕎麦の時期だったのです。とことんそばのかおりに包まれるなら、この時期なのだと。しかも安い。
「そばがきふたつ」(2人で行った)
「へい」とは言いませんでした、おばちゃんだったので。(笑)
ただ、ちょっと嬉しそうに見えました。そしてこんなことを言いました。
「ここの職人さん、若いのに、そばがき作るの上手いんですよ」
「へー」
「この時期はホントに食べごろですよ」
「ほー」
「私のおじいちゃんが大好物だったんですよ。
「へー」
お勧め感満載でした。
で、出てきました。
とりあえず何も付けずにひと口。パクッ、あ、蕎麦のかおりってこれか。パクッ、おー、蕎麦だねぇ、パクッ、蕎麦だねぇ。パクッ、美味いかな、まあもちろんマズくはないけど、まあ美味いけど、困ったな。蕎麦食べてる感じじゃないな。
で、「おーワサビいいねー、おー、ウメもいいねー」などと半分くらい食べたところで「腹にたまる感じ」がしまして、いや美味いんですよ、でも腹がパンパンになってきた。
パクッ、モグモグ、あー、蕎麦の味がするよ。
パクッ、モグモグ、蕎麦だわ。これは蕎麦だわ。いやー、かおりってこれかー。
最後のひと口まで蕎麦の味が続きました。すごいっ。
で、連れはこれを大層気に入り、「また食べたい」とずっと言っています。
私は、「でも蕎麦は麺状のものがいいな」と思うのでした。
しかし、読者のメールによれば、そもそも蕎麦というのはこのそばがきのことを言い、麺状になったのは江戸時代あたりからで、のどごしを楽しむために細く切ったのだと、ウンチクを垂れていたのでした。
ついでに蕎麦を調べたら、高知県で9000年以上前の遺跡から蕎麦の栽培がされていた可能性があるという情報がありました。蕎麦史的には8000年以上の間「蕎麦と言えばそばがき」であって、麺状になったのはこの200~300年程のことなのですね。
年越し蕎麦を食べる前に、9000年の蕎麦史をちょっぴり思い起こせば、きっと、蕎麦のかおりも倍増するのではないでしょうか。
いいえ絶対にそんなことはありません。
さよーなら。
あ、この後、津別から帰宅する道を気まぐれで変えてみたところ、また面白い風景に出会ってしまったのです。それは次号で。